博士課程2年目(D2)の振り返り【論文・就活・恋愛など】

研究生活
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博士課程の2年目の年末ということになり、去年もやったけどこの1年の振り返りと今後の目標などについて考えていきたいと思う。

そもそも博士課程に入る前に海外PDでアメリカポスドクやっている先輩方から思いっきり研究できるのはあD2までだと思っていた方がいい、とアドバイスをもらっていたことを思い出す。そのアドバイスは頭の中にきちんと入っていてこの1年で思いっきり研究を前に進めることを目指してやってきた。結果としては根底となる実験系を構築することができていて、博士研究の大部分を軌道に乗せることができている。同時に自分で発案して進めていた研究についてもある程度のデータ量と筋書きができていて論文化までまとめられそうになっている。部活は怪我の影響で厳しい一年だったものの来年に向けて新しいアプローチに出会うことができている。恋愛については残念ながら共に過ごしていた彼女とお別れすることになってお互い新たな道を歩み始めている。

波乱万丈とまではいかないが、少しずつ波に乗りつつある状態にある感じで来年に期待が持てる良い一年が過ごせるのではないだろうか。

 

【研究】博士2年目の研究成果→論文1・国内学会1・国際学会1

昨年の振り返りを見ると論文1と書いていたが、それは正確には今書いている論文1という記載だったので、実質論文0ということだろう。結局その時書いていた論文は先生とのいざこざもあり最初の投稿にも8ヶ月以上を要した。結局ポスドク応募のために一度BioRxivに投稿したので、プレプリントだが、今回は論文1と記載してもいいだろう(強気)。

 

論文ついては現在Reviewerに回っているのが1つ、だいぶ背伸びをしてSubmitしたのが2回ともレビューワーキックでリジェクトされていたのでやっとReviewerまで回ったので安堵の気持ちが大きい。アクセプトに向けてリバイス対応頑張りたい。来年の5月(海外学振提出)に向けてあんまし長引かせたくない。

 

それとデータがある程度揃っていて来年の5月までを目処に投稿することを目的に執筆を始めているのが2本ある。このうち1本はメソッド論文で指導教官から十分まとめられる内容になると太鼓判を押されて執筆を開始した。メソッドのJournalに出しても良いがある程度まとめた話にそてPlos oneかScientific reportあたりに投稿するのがいいんじゃないか。もう一本は自分が気になる現象を見つけてそこから立てた研究テーマである。メイン研究とは独立したテーマだったが指導教員も真摯に協力いただいてくれて一連の生理現象、メカニズムがわかりそうである。こちらはデータ量が多いのでしっかりとまとめてメディカル系のハイインパクトのジャーナルにチャレンジしたいと思う。

 

メインの研究テーマと合わせると結局筆頭著者としての論文総数としては博士課程で4本になる見通しだ。

博士課程のうちくらいは本数に拘ってもいいだろうと思っているが、中堅(感覚的にIF7以上)以上にもならない論文に莫大がエネルギーをかけている時間にふと不毛なことをしているような感覚に襲われる。これについてはいつかしっかりと心の整理をしないといけないなあと思う。今Underreviewの論文をPNASに出して一瞬でリジェクトを喰らった時に、やっぱり高いレベルのJournalにしっかり認められたいと思うようにもなった。論文の本数で認められる世界線はあるし、その世界線ではsurviveのルールのようになってもいるのでなおざりにはできない。リスクを最小限にして大きなチャレンジをするための基盤と割り切れるのだろうか。

別にハイインパクトの論文をとることが本質ではないし、世界にとって価値ある仕事だと思えることをやり続けることが本質的に重要なはずだ。揺らがない信念を持って研究者に早くなりたいと思う。どうしても生き残りや目先の利益に目が眩む。まだまだ未熟なんだろう、

 

「チャンスがあれば博士のうちに国際学会に出たほうがいい」これは博士1年の時に東大特任教授の方に言っていただいた言葉である。当時は留学みたいな形で海外行ってみたいとか思っていたが、それよりかは国際学会にいけとアドバイスを頂いた。ちょうど1つ目の研究のまとまりができたところで指導教官に打診したところすんなりOKをもらうことができて、来年4月上旬にペンシルベニアで行われるExperimental biology 2022 annual meetingに参加することになった。うちのラボにはあまり国際学会とか行く文化がなさそうでこの学会も僕の単独参加になる。めちゃくちゃワクワクしている。ポスターか口頭かはまだ判断待ちだが、雰囲気の違いや規模感をめいいっぱい楽しみたいと思う。

あと農化、来年こそは対面に・・・

 

【部活】怪我でシーズン一掃も来年への希望

今シーズンはほとんど試合に出なかった。というよりもほとんど部活からの引退を考えた。

今シーズンを最後だと考えていたからこそ4月の大怪我は辛かった。3月の最初の試合はシーズン初戦にしてはこれまでで最も高い記録を出せていたので状態はしっかり作れていたのだろう。

3ヶ月以上部活から離れて完全に意気消沈していた秋にたまたまの出会いがあった。もともとの知り合いであった日本超トップレベルのアスリートと飯に行ったのだ。その時彼は突き詰めるところまで突き詰めて現役を引退したところだった。その時に彼が語った動きの本質・強くなるための方法論に強く共感し、思わず指導を乞いたいと願ったのだ。

それ以来毎週1回一緒に練習をしている。毎週毎週動きは格段に良くなっている。自分でも自信を持って言えるが、間違いなく人生で一番良い状態を来シーズン作れると思う。

 

心の底から信頼できるメンターを見つけた感覚だった。そんな状況だからこそ思うのだが、自分自身で試行錯誤をし続けてそれで突き抜けられない状態になってしまったら、それは自分のやり方、考え方が間違っていると認識しないといけない。自分だけの力では足りないと認め、自分でなんとかできるという傲慢さを捨てることが、最初の一歩だと思う。心の底から信頼、自信が持てるメンターを見つけられた僕は幸運だ。陸上競技に対して、毎日毎日ワクワクしながら過ごせている。

 

【恋人】博士学生破局と同棲解消からこれからを考える

 

結果は必然でどうしようもなかったことなんだと認めている。恋愛・結婚はタイミングだという人がいるが僕もこれからそんなことを言う類の人になるんだろう。

原因を一言でまとめてしまうと「キャリアの不一致」ということになる。

元々僕は博士取得後のポスドク先は海外を希望している。そして学年が上がるにつれて僕もそれに向けて準備をしていくに連れて海外留学も現実味を帯びてきた。博士2年後半になってから実際にそうなった時にどうするかをお互い真面目に考えなければいけない時期に来たのだ。これまでは彼女もできたら一緒に行きたいと思っていると言ってくれていたのでああそうなんかなと期待していたところもあったのだが、人生何が起こるかわからない、自分の人生に何が起きるのかもわからないのに他人の人生に何が起きるのかなんてわかるはずもない。

彼女は日本で数年かけてやりたいことが見つかった(見つかってしまった)のである。その話は非常にチャレンジングで彼女がやりたい分野にドンピシャのことだった。どうしてそれを辞めて一緒にいようと言えるだろうか。彼女のやりたいと踏み出したことを全力で応援したいと思ったしそれに際して自分自身が柵のようにはなりたくないと思った。結局お互いに数年規模で、異国で、時差がある中で乗り越えられるビジョンがはっきり見れなかったのだ。どうしようもないのかという気持ちから感傷的になることもあったが、きっかけはお互いの前向きなチャレンジである。心の整理をして晴々とした気持ちでこれからお互い歩んで行けたらと思う。

 

学生と社会人でお付き合い、同棲をしていたときに思ったことを「生活面」「金銭面」「精神面」で考える。

生活面では生活QOLは著しく向上した。家が2LDKに移り学生とは思えぬ優雅な生活を送れるようになっていた。相手がご飯を作ってくださることもあったしお風呂もほとんど毎日浸かったり健康的な生活だった。そして何よりご飯を一緒に食べる、何気ない話を毎日のようにできた生活は本当に楽しかったし、刺激的な影響を受けることもあったし時には精神的に救われることも沢山あった。初めて恋人と同棲して一番強く感じたのはとにかく楽しいということだ。しっぽりとしたモノクロなひとり暮らしが彩られる感覚だ。

次に「金銭面」であるが、これは同棲による経済的に余裕が生まれるということはなかった。そもそもめちゃくちゃ面倒くさがりなので消費財や電気光熱費、食事もミニマム以下で暮らしてしまうタイプだった。なのでQOLを社会人の彼女と一緒に高めることで多少の負担が加わる。なんとか自分で稼ぎを増やしていきたいと思ったりもしたが、結局忙しさにかまけてそれもできず、それがきっかけで彼女とぶつかるようなこともあった。これについては博士学生の経済力で相手に迷惑をかけている感じが本当に申し訳なかった。一緒にいる相手と一緒に時には贅沢を楽しんだりできるくらい、それくらいの経済力を持っていたいと別れた今ではモチベーションにすらなっている。経済的に豊かではない自分を許容して一緒にいてくれたこと自体に本当に感謝すべきだし、もっといい思いをさせたかったと後悔する気持ちも大きい。

最後に精神面だが、孤独感がないことが必ずしもいいことだったのかどうかはわからない。僕は割と一人での寂しさも孤独感も含めてどこか心地よさを感じるタイプである。もしかするとひとり暮らしの方が、対象に対してもっとのめりこんだりできていたのかもしれないし自分だけを考えてやることをスケジュールする方が何かと効率がいいのかもしれない。こういう面は一緒に暮らすことにおけるトレードオフなんだなと強く感じることになった。自分一人で暮らしていれば気を張っている時間は皆無だろうけど彼女との交流で得られる多大なものだってなくなる。そういえば眠りにつくスピードや眠りの深さは爆増した気がする。別に気を張っていた意識はないのだが、それでも他人がいる、いないの違いは大きいんだろう。

 

【就職活動】海外ポスドク留学先決定に向けて

ここ一年は本格的に卒業後の進路をどうするか、ポスドクをやるならその時にどの分野をやりたいか、どの研究室が候補になるか、そんなことをひたすら考えていた。

Podcastでアメリカ独立された先生がおっしゃっていたのだが、ポスドクは自分の専門性を拡張する最後のチャンスであると言っていた。ポスドクに進んだ先輩方でうまくいっている(ように見える)方々の共通項として博士まででやっていた内容から多かれ少なかれ分野を変えている印象がある。しかしそこには新しいことをやりたいというモチベーションに加え、長い目で見た戦略があるように感じる。計画的偶発性理論という考え方に近いと思うのだが、今のことと繋がっていない新しい分野に飛び込んだ時に予期せぬ形で大きな成長をもたらすのではないかと思う。そんなことを考えながら、自分も戦略的にこれまでと違う分野にチャレンジしてみたいと思っていた。

具体的には以下のようなスケジュールで進めていた。

2021,Jan.-Sep. 興味のある研究分野を考える。候補となる研究室を選択する。

この期間は特に自分の研究内容以外の分野にアンテナを張り、様々な分野の研究のことを調べたり論文を読んだりした。Feedlyでの論文チェックの頻度も高くなったし、実験医学や学会誌なども興味のアンテナを常に立たせて読んでいた。一度興味のアンテナが反応した分野についてはレビューやCNSレベルの論文、基本知識などを勉強して一度のめり込む、そして飽きる、みたいなことをやった。興味を持った分野は本当に多岐に渡った。免疫学、運動生物学、空間オミクス、超高解像蛍光顕微鏡、構造生物学、DNA origami, Neuroscience, DNA event recording, 神経変性疾患治療, Protein engineeringによるプローブ開発, etc…, 色々なものにハマり込もうとやってみては急速に熱が冷めていったりということを繰り返していた。幸いなことに熱が冷めない、何度も再燃するような分野がいくつか引っかかってきた。時間はかかっても一度その分野のことを表面的な情報以上知ろうとすることが大切だと思う。この技術でどんなことができそうなのか、どんな立ち位置にあるのか、どんなインパクトがこれまであったのか、将来の展望などそれくらい知らないうちにチャレンジするのはあまりに浅はかだろう。

 

2021, Sep.-Nov. 優先順位の決定、メール連絡をする準備をする。

この期間でどの研究室に行きたいかを具体的に決めていった。大御所のラボがいいのか若手PIがいいのか、場所は?研究内容は?様々な角度から自分のモチベーションとFitするところを慎重に考えていった。実際にこれまで海外postdocをやっている諸先輩方に色々Zoomで話を伺ったりして色々な情報を集めたりしていた。

初めて9月ごろに海外ポスドクをやられている方に海外PD申請を見据えて10月くらいから連絡するくらいでいいんじゃないかと言っていただき、想像以上に早く行動しないといけないんだと実感した。そこから本格的にポスドク留学アプリケーションに取り組み始めた。そういえばその時に初めてしっかり海外PD採択された申請書を見てその実績欄に焦りを覚えた。大体First論文3, second以降が多々, 国際学会3くらい見たいな実績を見て、残りの期間でそこに辿り着くためにはもうちょい頑張らなあかんなとケツを叩かれたような気持ちになった。

第一希望の研究室が決まったら連絡用のCover letterやCVを作成したし、Publicationをもう一度読み返して自分でどんな研究ができるか意見できるくらいに考えを巡らせた。この時博士での最初の論文を投稿できる状態に準備をしていたのでBioRxivへの投稿が完了すればすぐに連絡できるように素材を揃えていた。

2021, Dec. ポスドク希望連絡スタート

10月に連絡したいと思っていたが、結局論文がまとまるのが後ろ倒しになったこともあり、最初に希望先にメールを出せたのが12月1週目になった。しかし最初にPostdoctal inquireを送ってから1週間以上連絡はなかった。見ず知らずの研究者から連絡を受ける場合はメールが返ってこないことの方が多いかもしれないと言われていたので、やはりこんなもんかと落ち込みすぎないように気を整えていた。ただ考え抜いての第一希望だったこともあるので諦める前にReminder mailを送ってみた。するとその日のうちにメールが帰ってきて、本当に1回目のメールが膨大なメールに埋漏れて見られてなかっただけのようだった。Cover letterやCVからも興味を持って頂けたようですぐにZoom interviewのスケジュールが決まり、1週間後くらいに最初のInterviewを受けることになった。初めてのNative speakerの英語のキャッチアップの難しさに衝撃を受けたが、それよりも1年くらいかけて興味を持っていたラボの先生についに会えるという興奮が大きかった。結局1時間以上研究のことを話して次のステップが与えられるようになった。次のステップは1ヶ月後だ。

こんなスケジュールを経て今に至るのだが、このスケジュール感はベストだったように思える。実際留学希望の先生からもこれくらい早い段階で連絡をもらえたのは本当にありがたい、十分な時間をかけて研究計画について練ることができるのは非常に良いことだとおっしゃっていただいた。

連絡が速やかに来るとは限らないし、選考される中で次のスケジュールが1ヶ月後とか普通にあるというのを知るとやはりこれくらいのスケジュールで動いたのは成功だったと実感する。うまくいけば4月のアメリカ国際学会の際にラボを訪問できそうである。この数ヶ月今まで以上に念入りに、全ての準備をやり切りたい。

 

【その他】読書や趣味、資格など

この1年はいろんな研究分野の論文を読んだり勉強したりに忙しく、一般の本を読む時間が著しく減ってしまった。その中で面白かったものを挙げていく。

 

サードドア 精神的資産のふやし方 [ アレックス バナヤン ]

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ある目標を叶えるために王道の道にはすでに行列ができている。大事なのは他の人がやらない方法論(サードドア)を見つけるか。これは問題解決の対象何事においても意識して考えたいと思った。

 

ブラックスワン回避法 極北のテールヘッジ戦略 (ウィザードブックシリーズ) [ マーク・スピッツナーゲル ]

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感想(0件)

世の中は予測できない黒い白鳥で作られる世界である。自分の専門性という自惚れ、黒い白鳥をどのように捉え、乗りこなして生きていくか。考え方の視野を大きく変えることになった一冊。

 

SHIFT:イノベーションの作法【電子書籍】[ 濱口秀司 ]

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感想(0件)

 

イノベーション商品を次々と生み出す濱口さんが考えるイノベーションの生み出し方を体系的にまとめた1冊。某企業の大先輩から紹介を受けた一冊

 

改訂版 もっとよくわかる!脳神経科学 (実験医学別冊 もっとよくわかる!シリーズ) [ 工藤 佳久 ]

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感想(0件)

 

脳科学について一通り重要な点を学びたくて購入した一冊。図が豊富でNeuroscienceに携わったことのない初心者によってもめちゃくちゃわかりやすく解説してくれている。ポスドク先に行くまでにこの本の内容くらいは網羅したい。

 

 

そういえば統計検定2級も合格した。一通り統計の基本的な考え方に触れられたのでいいきっかけになった。

 

【2022年目標】人生ごと変えてしまう結果を

去年と同じく結果にコミットしたい。今年はできたかと言われたら微妙である。

今まで以上に身体にも気をつけていきたい。

2022年末までに論文3本アクセプトしておく。

第一希望のポスドク先に決める。

陸上で全国決勝の舞台で戦う。

海外PDとHFSP fellowshipを決める。

このあたりにコミットして良い一年になりますように。

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