骨格筋3D培養系を用いた運動による抗炎症作用の解明

論文紹介
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二次元培養と三次元培養では細胞の状態が表現系、機械的ストレス状態、細胞内代謝状態に至るまで様々な点で異なることが報告されてきており現在オルガノイドを用いた薬物スクリーニングなどが加速しているのもこういう背景があるのは間違いない。

 

骨格筋においては骨に沿って接着している点から考えれば二次元的であり、平面培養と立体培養による違いなどがあるとはあまり思っていなかった。

 

しかし今日読んだ論文の背景として、慢性的な炎症状態、すなはちIFN-rを含むサイトカインの上昇が骨格筋の機能低下につながることが示唆されているが、どうも2次元培養だとその反応をうまく表現できず、根底にあるメカニズムなどの解明には至っていなかったそうだ。

 

1月末にScience Advanceに報告された論文「Exercise mimetics and JAK inhibition attenuate IFN-γ-induced wasting in engineered human skeletal muscle:In vitro骨格筋系において、運動模倣の電気刺激やJAKシグナルの阻害はIFNγ誘導性の筋消耗を軽減する。」を読んでみた。

 

本論文ではヒト3次元的に培養できるモデル”Myobundle”を用いることでIFN-rが筋障害をもたらすこと、そのメカニズムを明らかにした。

“Myobundle”はヒト初代筋芽細胞とhiPS由来筋前駆細胞を組み合わせて作成するようだが詳細は割愛(具体的にイメージできない)

 

はじめに、IFN-rがmyobundleの収縮障害を引き起こすことを示した。運動を模倣した収縮をかけることによってIFN-rで生じた筋障害が改善する様子を観察した。同様に運動模倣として、電気刺激を与えるとIFN-r によって生じたmyobundleの構造異常をやはり改善した。蛍光観察だけでなく、Myotubeの長さ、サルコメアの量、収縮応答するタンパク質発現、カルシウムHandling, Secretomeなど諸々をIFN-rが低下させ、運動模倣によって上昇させることなど一貫したデータを示している。

 

メカニズムとしてIFN-rによって誘導されることが知られているJAK-STAT signalingの発現上昇が筋障害の一因であると仮説を立てて、運動模倣の電気刺激によってこのシグナル増加が軽減することを突き止める。”Myobundle”に対してJAK inhibitorを用いても電気刺激同様に筋機能低下に関与する種々のIndexが改善することを示した。

 

今回の実験系で重要なことは、運動による抗炎症性は骨格筋組織に存在する脂肪細胞や免疫細胞に関わらないAutonomousな抗炎症作用が存在するということだ。

 

ただ実際筋障害に伴うサイトカインの分泌がマクロファージなどを刺激したり、脂肪細胞を分化させたりすることを考えると、このAutonomousな抗炎症作用がどれくらい免疫細胞の攻撃に対して有効なのか疑問に思う。

 

Reference

Chen, Zhaowei, et al. “Exercise mimetics and JAK inhibition attenuate IFN-γ–induced wasting in engineered human skeletal muscle.” Science Advances 7.4 (2021): eabd9502.

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